【産学連携事例】ABCへの相談から、豚糞の無臭化に成功
ハウスクリーニング・家庭内消臭を行う株式会社EI(静岡県浜松市)が、消臭が難しいといわれる豚糞の消臭・堆肥化の技術開発に成功し、特許申請しました。
同社は、養豚業者から相談を持ち込まれ、試行錯誤を繰り返してきました。再現性や各種条件設定の問題があり、製品化には至らず、2018年3月に産学連携機能のあるビジネス相談先として、ABCへ相談。
ABCでは、天然物有機化学に詳しい名城大学薬学部高谷准教授をマッチングしました。
以下名城大学プレスリリースより引用
人に優しい豚糞の無臭化に成功 竹・茶バイオマスを活用した循環型農業の開発
名城大学薬学部 髙谷 芳明准教授の技術指導の下、株式会社 EI(静岡県浜松市:代表取締役 伊堂勉)が、特に消臭が難しいといわれる豚糞の消臭・堆肥化の技術開発に成功し、特許申請いたしました。茶や竹といった余剰が見込まれるバイオマスを用いる技術で、静岡県西部の養豚業問題解決と高品質堆肥による農業活性化を期待できます。
今後、この技術をより幅広い養豚業者へ提供していくことで、日本の悪臭問題を解決しそこから得られた高品質堆肥による有機農業の展開を目指します。
<概要>
静岡県西部の浜松・湖西エリアで養豚業が盛んですが、地域問題としてそこから出る豚糞による 悪臭があります。豚雑食性でもあり悪臭の成分が複数まじりあい、既存の消臭方法で期間がかか ったり、薬剤が強力なため堆肥化に向かなくなるなどの問題がありました。
ハウスクリーニング・家庭内消臭を行う株式会社 EI のグループ会社に、市内養豚業者から相談を持 ち込まれ、試行錯誤を繰り返してまいりました。いくつかうまくいくこともありましたが、再現性や各種条 件設定の問題があり、製品化に至っておりませんでした。
2018年3月に産学連携機能のあるビジネス相談先として、隣県の安城ビジネスコンシェルジュに相談し、適切な連携先として、天然物有機化学に詳しい名城大学薬学部高谷准教授をマッチング。同准 教授が適切な実験計画の策定、計測機器の導入、実験結果の整理など、基本的な科学的手法を指導し、それに基づき2018年7月より実験を開始。300通り以上での諸条件下で実験を行い、結果、再現性のある適切な消臭・堆肥化手法の技術開発に至りました。また、同技術を2019年7月特許申請いたしました。
本技術で豚糞のみならず鶏糞や牛糞でも効能を確認しています。
多くの糞尿消臭技術で劇物の利用前提としていますが、本技術で天然物のみを添加すること で消臭を実現しております。そのため、消臭後の糞の堆肥としての利用も期待できます。プラントでの 予備実験で比較的良い結果が得られており、今後予定している圃場実験を行い、今後の有機肥料 としての展開を予定しています。また、このプロセスで添加する天然物として、静岡県の地域資源としての茶葉、地域問題となりつつある竹を組み合わせています。そのため、養豚の地域問題解決と地域資源の新しい利活用の可能性ももたらしております。 今後消臭の手法として、幅広い養豚業者へ技術供与を検討しております。また処理後の糞をきちんとした農業資材として利用できるよう、圃場実験を通じての有効性・安全性検証を進めてまいります。
人に優しい豚糞の無臭化に成功 竹・茶バイオマスを活用した循環型農業の開発(PDFファイル)